熱中症について色々な研究を探して、論文を読んで、この熱中症ドットコムの記事は書かれていますが、今回は熱中症の本を実際に買って、その中で特に、今までの記事の中では出てこなかったようなテーマや知っておいた方がいいな、と私が感じたところを、引用しながら紹介していきます。
今回買ったのは、Amazonで「熱中症 本」と検索して、私てきにパッと目について(これ良さそうだな!)と感じた、稲葉裕先生の「熱中症対策マニュアル」です。
第1章:熱中症の基礎知識
熱中症とは、高温・多湿の環境によって、生命を維持する体温調節の働きに異常が起こる病気です。
「熱中症」と言われると、運動やスポーツをしているときになるもの、と思っている方もいるかもしれませんが、熱中症は日常生活、仕事中、さらには室内でも起こる可能性もあります。さらに、熱中症になったときに適切なケアが行われなかったり、熱中症に気づくのが遅れたりしてしまうと、意識を失ってしまったり、最悪死に至ってしまうこともある、危険な病気です。
室内でも熱中症は起こる
熱中症の約30%は住宅内で発症している、というのが現状です。これは、室内でも蒸し暑くて風通しが悪いと高温・多湿になり、熱中症が起こりやすい環境となるからです。
上にあげた「高温」「多湿」「風通しが悪い」の3つは、WBGT(暑さ指数)をあげる要素4つにうちの3つです。これらが高いとWBGT値は高くなります。
WBGTについては「熱中症を予防するために運動前に暑さ指数(WBGT値)を調べよう」の記事をご覧ください。
室内の中でも、以下のような場所は特に熱中症になりやすい環境です。
- お風呂・洗面所
- キッチン
- トイレ
さらに、ガラス張りで太陽の日差しが入ってくる(輻射熱の影響が強い場所)ような会社や、風通しがなく冷房が効きにくい体育館のような場所も、室内ですが熱中症になりやすい場所と言えるでしょう。
熱中症にかかりやすい人って?
性別でみると、男性の方が起こしやすくなります。
以前書いた記事「職場・労働中の熱中症対策!熱中症を予防して働きやすい環境を」でも、「男性」というのは熱中症のリスクファクターの1つであるという話をしました。基本的に男性の方が女性よりも筋肉量が多いため、運動や仕事をした際に体内に生まれる熱の量が多い、というのが理由の1つとして挙げられます。
年齢別にみると、圧倒的に乳幼児や高齢者の発症率が高くなります。
乳幼児が熱中症になりやすい理由の1つは「汗をかくことによって体温を下げる機能(=体温調節機能)がまだうまく働かない」ということが挙げられます。
ただでさえ子供は代謝が良いため、普通にしている時の体温が大人よりも高めです。それに加えて運動をしたり身体を動かして体温が上がると、体温を調節する機能がまだうまく働かないことにより、平熱になかなか下がってくれません。よって体内に熱をためている状態になってしまい、熱中症になりやすくなってしまいます。
第2章:熱中症を予防する方法
熱中症の対策は、気温と湿度が上昇する梅雨頃から始めましょう。
熱中症が起きやすい時期の1つが「梅雨の合間の晴れ」や「梅雨明けに急激に蒸し暑くなるとき」です。これはつまり、暑さにまだ身体が慣れていないため、気温や湿度の変化に身体が適応できずに熱中症になってしまいます。
よって、熱中症の予防は本格的に暑くなってくる前から始めましょう。少しずつ身体を暑さにならしておくこといよって、本格的に暑くなってきた時に、しっかり身体の体温調節機能が働いてくれます。
熱中症予防のための服装とは?
通気性や速乾性の高い素材、熱を吸収しない色、体を締めつけない形を選びましょう。
まず素材。通気性・速乾性に優れている素材はズバリ「綿」「麻」「ポリエステル」です。
色については、外の熱を吸収しづらい「白」や淡い色がいいですね。逆に黒や濃い色の服は熱をガンガン吸収してしまうため、熱を吸収した服と肌が触れることで「伝導」が発生し、体温が上がってしまいます。
形としては、ゆったりしたものを着ることによって、服と体の間を風が通り、汗が蒸発することで効率的に体温を下げることができます。タイトなスキニージーンズなどは気温の高い日は避け、通気性を考えた服装にすることが、熱中症の予防になります。
日頃からの運動が熱中症を予防する
熱中症は、体が暑さに慣れず、汗をかいて体温を調節する機能がうまく働かない人ほどかかりやすくなります。
日頃から軽い運動をしておくことで、汗をかくことのできる身体を作っておきましょう。1時間も運動する必要はありません。20〜30分、少し早歩きをするくらいの強度でも、十分に汗をかくことはできますし、身体を暑さにならしていくことができます。
夏の暑い時期に外で運動をする場合は、早朝や夕方などに行いましょう。一日の中でも特に暑い午前10時〜午後17時あたりに運動することは、熱中症になってしまう危険性が高くなります。
短時間でも、乳幼児を車内に残して離れるのは絶対にダメ
車のような狭い空間では、わずかな時間でも温度が急上昇するため、体温の調節機能が未発達な乳幼児にはとても危険です。
数分でも、温度の急上昇によっては熱中症になってしまいます。絶対にやめましょう。
小学生〜高校生は運動時の熱中症に注意
課外活動などが活発になる小学校から高校生くらいまでの熱中症は、約70〜80%がスポーツの時間に起きています。
小児から青少年にかけての時期は、課外活動時や集団行動をしているとき(朝礼、遠足など)、さらには運動をしているとき(体育、部活動など)に熱中症になりやすいです。暑い時には無理をしないこと(これは先生方や指導者側の努力も必要ですね。子供や生徒に無理をさせないようにしましょう)や、こまめな水分補給を忘れずにしましょう。
冷房病とは?
冷房病は、外が暑い時期に、エアコンが効いた室内に長時間いることで自律神経の働きがバランスを崩して発症します。
私は、暑い日には熱中症を予防するために部屋では絶対に冷房を使うべきだと考えているのですが、なるほど冷房病なんて言われるものがあるのですね。知らなかった。
冷房が効いた場所に長い時間いると、交感神経と副交感神経のバランスがうまくとれなくなるようです。自律神経がうまく働かなくなるため、体がだるくなったり、肩がこったり、食欲がなくなったりなどの症状が出るようです。
第3章:熱中症になった時の応急処置
まずはじめに意識の確認をして、医療機関への搬送を急ぐべきかどうかを判断しましょう。
意識に障害があるということは、もう脳や臓器にダメージが起き始めていることをあらわします。もし意識があれば、早めに水分や塩分を補給したり、氷で身体全体を冷やして体温を下げるといった処置を始めましょう。
もし意識がないと、これらの処置を自分自身では行うことができません。よって体温は上がり続け、脳や臓器へのダメージは進行し、最悪死に至ってしまいます。意識がない場合は、身体を冷やしながら、一刻も早く救急車を呼びましょう。
病院に自分の車で行く or 誰かを連れて行く場合
まずは車内の冷房を十分に効かせましょう。そして、行く病院は救命救急・集中治療の施設がある医療機関で、診療科目は内科あるいは小児科が考えられます。事前に医療いかんに連絡をとって、対応可能か確認をしましょう。
あくまで、救急車で搬送がどうしてもできない時や、症状がかなり軽い場合に限ります。救急車を呼べるときは呼びましょう。
この本の最後には、熱中症対策グッズがいくつか紹介されています。良さそうだなと思ったものはまた実際に買ってみて、紹介しますね。