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熱中症で白内障リスクが上がる?屋外で活動する人に知ってほしい「目の暑さ対策」

熱中症と聞くと、めまい、頭痛、吐き気、意識がぼんやりする、といった症状や体調不良を思い浮かべる方が多いと思います。

もちろん、こうした症状はすぐに対応が必要ですが、一方で、最近の研究では、熱中症を経験した人は「将来の白内障リスクが高くなる可能性」が報告されています。

白内障とは、目の中にある「水晶体」というレンズのような部分が濁り、見えにくさにつながる病気です。年齢とともに増える病気として知られていますが、今回の報告では、30代など比較的若い世代でも熱中症との関連が見られた点が注目されています。

特に、屋外で部活動を指導する先生やスポーツをする方、子どもの練習や試合を見守る保護者の方は、「熱中症対策は体だけでなく、目の健康にも関係するかもしれない」という視点を持っておくとよいでしょう。

この記事では、研究の内容をわかりやすく整理しながら、暑熱環境下で活動する際の、日常生活でできる「目の暑さ対策」を紹介します。

熱中症と白内障リスクの研究でわかったこと

名古屋工業大学と金沢医科大学の研究チームは、2010年から2023年までの全国の医療保険データをもとに、熱中症の受診歴とその後の白内障リスクについて解析しました1,2

大学の公式発表によると、対象は全国約246万人分の保険加入者データです。

主な結果は次の通りです。

  • 熱中症の受診歴がある人では、白内障発症リスクが全体で1.96倍
  • 30代では2.99倍
  • 糖尿病のない人でも2.44倍

ここで飛躍して考えないでほしいところは、「熱中症になったら必ず白内障になる」という意味ではないことです。

この研究は、医療データを使って関連を調べたもので、熱中症が直接白内障を起こすと証明したものではありません。大学の発表でも、因果関係を直接示すものではないと説明されています。

ただ、「熱中症になってしまう」というのは、その場の体調不良だけでなく、体に大きな負担がかかかる出来事であることは間違いなく、将来の目の健康という視点からも、熱中症を予防する行動をとっておく意味は大きいと考えられます。

なぜ熱中症が目に関係する可能性があるのか

まず背景として、白内障はもともと「加齢」に加えて「熱ストレス」との関連が指摘されていました。しかし、熱中症と白内障の関連を大規模に調べた研究はこれまで十分には行われていませんでした。

白内障は、「目の中の水晶体が濁る」ことで起こります。水晶体は、たんぱく質でできています。たんぱく質は熱の影響を受けやすい性質があります。

例えば卵の白身は、熱を加えると透明から白く変化しますよね?目の中でも、強い熱の影響が続くと、水晶体のたんぱく質のように、卵の白身のような変化が起こる可能性があります。

テレビ愛知の記事3では、金沢医科大学眼科学の佐々木洋教授が、目の温度が37度以上になると水晶体が濁りやすくなるという趣旨の説明をしています。

また、古い研究ではありますが、1988年に発表されたTaylorらによる研究4でも、暑い地域ほど白内障による視覚障害が多いことが報告されており、環境温度の高さや日射の強さが水晶体の老化を早めている可能性が指摘されています。

熱中症で体温が大きく上がると、体だけでなく目の温度も上がりやすくなります。そのため、体温を上げすぎないことは、目を守ることにもつながる可能性があります。

30代でも油断できない理由

白内障というと、高齢者の病気というイメージがあるかもしれません。実際に、白内障は年齢が上がるほど発症しやすくなります。そのため、30代の方は「自分にはまだ関係ない」と感じやすく、ピンとこない方も多いでしょう。

しかし今回の解析では、30代で白内障発症リスクが2.99倍と報告されています。

もちろん、若い世代ではもともとの白内障の発症率が高くないため、倍率だけで不安になりすぎる必要はありません。

ただ、30代の男性は、部活動の顧問、スポーツ指導、営業の仕事での外回り、屋外作業、休日の運動などで、暑い環境にいる時間が長くなることがあります。さらに、体力に自信があるため、少しの不調を我慢してしまうこともあります。

1998年のWestらによる研究5では、屋外で日光を浴びる時間が長いほど、加齢とともに水晶体の濁りが増えやすいことが、大規模な地域住民調査で示されています。

部活動の顧問の先生であれば、生徒の体調確認を優先して、自分の水分補給や休憩を後回しにしてしまうこともあるかもしれませんが、先生自身が熱中症になってしまうと、生徒の安全管理も難しくなります。

「自分は大丈夫」と思いやすい年代だからこそ、早めの対策が大切です。

屋外での運動・身体活動で注意したい場面

屋外で自分が運動する場合や、部活動の顧問・スポーツ指導のコーチ等の役割で屋外にいる場合、特に注意したいのは次のような場面です。

1)グラウンドやコートに長時間いる時

野球、サッカー、陸上、ソフトボール、テニスなどの屋外競技では、言うまでもなく日差しを長時間浴びます。顧問、指導者、もしくは子どもを見守る両親の場合、運動量は少なくても、日なたに立ち続けるだけで体に熱がこもっていきます。

“動いていないから安全” では決してない、ということを意識しましょう。

2)午後の練習・試合

午前と比較すると、午後は数℃気温が上昇しやすく、地面からの照り返しも強くなります。

グラウンド、人工芝、アスファルト、テニスコートなどは、周囲の気温以上に暑く感じることがあります。試合でいつもと違う場所に行く場合や、応援しに行く方などは、注意する必要があるでしょう。

3)大会や練習試合で休憩がとりにくいとき

大会や練習試合では、予定が詰まっていたり、チームとして行動をしなければいけないときは、こまめな休憩がとりずらかったり、水分補給が後回しになってしまうこともあるかもしれません。

子どもには水分をとらせていても、自分はとってなかった、ということもよくあります。

顧問の先生やコーチは、試合の運営、審判、保護者対応、生徒の管理などで忙しく、自分の暑さ対策をつい忘れがちです。かなり意識して水分補給や休憩をとる必要があるでしょう。

今日からできる目の暑さ対策

熱中症対策の基本は「体温を上げすぎないこと」「脱水を防ぐこと」「無理をしないこと」です。そこに「目を暑さから守る」という視点を加えられると、更に良い熱中症対策となるでしょう。

1)サングラスは紫外線と赤外線の両方から守れるものを選ぶ

サングラスと言うと、眩しい光を避けるという役割はもちろんありますが、紫外線対策として使用している方は多いでしょう。

今回参考にした記事では、紫外線だけでなく、熱に関係する赤外線への対策も重要であることが記載されています。よって、夏に使用するサングラスを選ぶときは、紫外線カットだけでなく、赤外線カットの機能があるかも確認してみましょう。

Westらによる研究5でも、特定の年齢だけが紫外線に弱いわけではなく、生涯を通じた「累積紫外線曝露」が重要だった、ということを報告していることからも、日頃からのサングラスや帽子の使用の重要性を示しています。

ちなみに、色が濃いだけのサングラスは、必ずしも目を守る機能が高いとは限りません。購入時には、レンズの機能表示を確認することが大切です。

「SOLAIZ(ソライズ):https://solaiz-erica.com/」のサングラスは、オシャレであるとともに、紫外線・近赤外線・ブルーライト等のカット率がかなり高いため、目をいたわりたい方にはオススメかなと思います。

2)帽子や日傘で目元を日陰にする

強い日差しを直接浴びると、体だけでなく目の周りも熱を受けます。屋外に長くいる日は、つばのある帽子や日傘で目元を日陰にしましょう。

部活動の顧問の先生や、スポーツ指導のコーチなどは、生徒や選手の前で日傘を使うことに抵抗があるかもしれません。しかし、指導者がしっかり暑さ対策をしている姿を見せることは、生徒にとっても大切なメッセージとなると私は考えています。

「暑さ対策は大切な安全管理の1つ」です。できることはしっかり行って、体調を管理していきましょう。

3)まぶたの上から目元を冷やす

熱中症対策として最重要なのは「体温が上がりすぎないようにする」ですので、暑熱環境下にいる場合はこまめに体を冷やすことが大切です。

特に熱中症の症状がないうちは、顔や首元、腕、背中など、冷やしやすい部位をこまめに冷やして、こまめに熱を体外に放出して予防していくことが大切です。

過去の記事で詳しくお伝えしていますが、熱中症の症状が現れてから「首だけ」冷やすではなかなか体温が下がらないので、なるべく体の広い範囲を冷やす努力をしましょう。

そこは前提として、それに加えて「まぶたの上から冷たいタオル等を当てて目元を冷やす」ことができると、目の健康にも良さそうです3

子どもを注意深く観察し続けた後や、目をたくさん使った後といった状況のときは、体を冷やすことに加えて、ちょこっとだけでも目元も冷やせると良いですね。

まとめ

今回紹介した研究では、熱中症の受診歴がある人で、その後の白内障リスクが高い可能性が示されました。

ただし、これは因果関係を断定するものではありません。過度に怖がる必要はありませんが、熱中症対策が「将来の健康、目の健康を守るため」にも重要であることがわかります。

特に、屋外で部活動を指導する先生や、スポーツ現場に関わる方は、自分自身の体調管理も安全管理の一部です。

熱中症対策は、命を守るための行動であるとともに、今回は「目の健康」を含めた将来の生活を守る行動でもあるかことが示されました。

今年の夏は、体だけでなく、目にもやさしい暑さ対策を取り入れていけると良いですね。

参考文献・資料

  1. 名古屋工業大学・金沢医科大学. 熱中症の既往がある人で白内障リスクが約2倍. プレスリリースPDF. https://www.nitech.ac.jp/mt_files/20260508_Hirata_Press.pdf
  2. 金沢医科大学. 熱中症の既往がある人で白内障リスクが約2倍. https://www.kanazawa-med.ac.jp/research/002546.html
  3. テレビ愛知. 熱中症で白内障リスクが2倍に 若者も油断禁物 メカニズムと対策を徹底解説 予防法も. https://news.tv-aichi.co.jp/single.php?id=9604&page=1
  4. Taylor HR, West S, Muñoz B, Rosenthal FS, Bressler SB, Bressler NM. Environmental temperature and senile cataract. Arch Ophthalmol. 1988;106(3):321-326.
  5. West SK, Duncan DD, Munoz B, Rubin GS, Fried LP, Bandeen-Roche K, Schein OD. Sunlight exposure and risk of lens opacities in a population-based study: the Salisbury Eye Evaluation project. JAMA. 1998;280(8):714-718.

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Written by
ATSUSHI