「横紋筋融解(おうもんきんゆうかい)」という言葉を聞いたことはありますか?
もしかしたら、現在現場で働いているプロのトレーナーでも聞いたことがないという方もいるかもしれません。
それくらい滅多に起こらないものですが、いざ起こってしまったときに適切に処置が行われないと死に至ってしまう可能性もある、本当に怖い病態です。
実は、私が熱中症について一生をかけて学んでいき、その学びをブログで発信していこう、と考えたキッカケはこの「横紋筋融解」です。
私が大学3年生のとき、2つ下の後輩が熱中症(熱射病)によって命を落としました。
彼は運動中に熱中症で倒れ、救急車で病院へ運ばれ、一時回復はしたものの、倒れた1ヶ月後に亡くなりました。その彼が亡くなってしまった原因は、熱中症から「横紋筋融解」を発症したことでした。
今回は、運動・熱中症が原因でなってしまう可能性がある「横紋筋融解」について、トレーナーや運動指導者が最低限知っておきたいことをわかりやすく解説していきます。
>>今回の参考文献はこちら。
1. Exertional Rhabdomyolysis: Considerations for the Athletic Trainer
NATA(米国アスレティックトレーナー協会)のProfessional Development Centerによるオンラインセミナー「アスレティックトレーナーとして、運動が引き起こす横紋筋融解を考える」です。
2. Rhabdomyolysis in a Trained Cyclist
同じくNATAのProfessional Development Centerによる「自転車アスリートに起こる横紋筋融解」というオンラインセミナーです。
3. Exertional Rhabdomyolysis in the Athlete: A Clinical Review」
「運動によって引き起こされる横紋筋融解」に関する2014年発表のレビューです。
横紋筋融解とは?
「横紋筋融解」は、その名の通り「横紋筋が融解してしまう」病態です。
まず「横紋筋」について。
横紋筋とは「縦横に模様がある筋肉」を指し、具体的に言うと「骨格筋(いわゆる筋肉)」と「心筋(心臓の筋肉)」を指します。
横紋筋ではない筋肉は「平滑筋(へいかつきん)」と呼ばれ、これは内臓や血管を動かす筋肉のことです。
続いて「融解」とは、簡単に言うと「溶けること」。つまり横紋筋融解とは「筋肉(骨格筋や心筋)が溶けてしまう」という病態です。
何らかの原因によって筋肉が溶けてしまうと、筋肉の成分であるミオグロビン(=たんぱく質)が血管の中に流れ込んでしまい、血管が詰まってしまうことで、急性腎不全・コンパートメント症候群・多臓器不全など、生命に関わる病変を引き起こしてしまいます。
原因・要因|なぜ横紋筋融解は起こるのか?
横紋筋融解が起こってしまう原因・要因は以下の通りです。
1)交通事故・災害など(Crush Syndrome)
横紋筋融解は「筋肉が壊される」ことによっても起きるため、交通事故や災害などの激しい事故によって、直接的に筋肉が壊される・圧迫されて起こります。
英語だと「Crush Syndrome(クラッシュ・シンドローム)」とも呼ばれ、何かによって身体にクラッシュ(=衝突)が起きることで、横紋筋融解が起きてしまいます。
実際に、1995年に起こった阪神淡路大震災や、2005年に起こった福知山線脱線事故の際には、多くの人がこの横紋筋融解を発症したといいます。
2)病気・薬の毒性・感染
はっきりと「この薬」「この病気」とは明言されていないのですが、興奮剤や非ステロイド性消炎鎮痛剤(=NSAIDs)などの薬を服用していたり、何か病気(風邪のような一般的なものも含む)を患っていたり、それによって免疫力が低下していると、横紋筋融解になりやすくなります。
3)鎌状赤血球形質(Sickle Cell Trait)
日本ではあまり馴染みはないかもしれませんが、特に黒人/アフリカ系アメリカ人の12人に1人くらいが、この鎌状赤血球形質(Sickle Cell Trait)を持っていると言われており、これを持つ人は横紋筋融解になりやすいです(アフリカ系アメリカ人以外でも確率は低いですが持っている可能性があります)。
この特徴を持つ人は、横紋筋融解や熱射病になるリスクが、持っていない人と比べると「37倍」とも言われています。海外で活動するトレーナーや指導者はぜひ頭に入れておきましょう。
詳しくは、私のもう一つのウェブサイト「CHAINON」で、この鎌状赤血球形質についての記事を書いています。特に選手やクライアントに外国人がいる方は、ぜひ「Sickle Cell Trait〜鎌状赤血球形質とは?〜|CHAINON(外部サイトにとびます)」をお読みください。
4)強度の高い運動・熱中症・脱水の3要素
運動をする方や、トレーナーや運動指導者などが一番気をつけなくてはいけないのが、この「運動・熱中症・脱水」の3要素の組み合わせによって起こる横紋筋融解です(もちろんそれぞれ1つ1つが横紋筋融解のリスクファクターです)。
まず運動について。
「強度が高い(=キツイ)運動」になればなるほどリスクは上がります。これは横紋筋融解に限らず、多くの怪我や熱中症でも同じですね。
文献で示されているのは、「繰り返しエキセントリック収縮(=筋肉が伸ばされながら力を発揮する)を行う運動」が運動強度を上げることにつながるため、横紋筋融解のリスクファクターの1つとして紹介されています。
熱中症もリスクファクターの1つです。
深部体温が40℃以上になる「熱射病」になると、体温調節ができなくなり、筋肉が壊れたり溶けてしまうことに繋がります。
脱水も同じく、体内の水分が足りないと体温が上昇しやすくなるため、熱中症になるリスクが上がるとともに、横紋筋融解になるリスクも上がります。
これらが理由で、気温や湿度の高い日に強度の高い運動をすることは、熱中症になり、そこから横紋筋融解へと進んでしまうリスクがとても高くなってしまうのです。
また、普段運動をあまりしていなかったり、普段運動をしていたとしてもあまりやったことがない運動を行うことなど、「不慣れな運動」をすることも、横紋筋融解を引き起こす原因となります。
さらに「過去に熱中症・熱射病になったことがある」人や「家族の誰かが横紋筋融解になったことがある」という人は横紋筋融解になりやすい、と言われています。
症状・サイン|横紋筋融解になるとどうなる?
横紋筋融解になると、どのような症状やサインが現れるのでしょうか?
1)おしっこの色が紅茶色・コーラ色・コーヒー色
横紋筋融解に特徴的なサインがこの「おしっこの色の変化」です。今回の参考資料では「紅茶のような色」や「コーラのような色」という表現が使われていました。
体が脱水状態になると、おしっこの色は「濃い黄色〜茶色っぽい色」になりますが、筋肉が壊され、筋肉の成分であるミオグロビン(たんぱく質)が血管内に溶け出すと、尿として排出されます。
尿にミオグロビンが含まれると、その色は紅茶やコーラのような「濃い茶色〜黒っぽい色」になります。筋肉の損傷・破壊が起こってから12〜24時間後くらいに、尿としてサインが現れます。
おしっこの色は「体内に必要な水分が補給されているか」をチェックすることにとても有効です。よって「おしっこの色をチェックする」ことをトレーナーや指導者はぜひ選手に伝え、習慣にさせましょう。「おしっこの色を見れば脱水状態かどうかがわかる」の記事もぜひお読み下さい。
2)筋肉の痛み・筋力の低下
横紋筋融解とは、筋肉が溶けること・破壊されることです。よってもちろん、壊された筋肉には痛みが発生するとともに、筋力は低下し、腫れなども起きます。
運動をすれば、たとえ横紋筋融解ではなくても筋肉痛になりますね。なので、体が痛くても(昨日運動したからなー)となるだけだと思います。
ですが横紋筋融解の特徴は「筋肉痛がどんどんひどくなり、全然痛みが引かない」ことです。
運動・トレーニングで使った筋肉が痛くなり、筋力も弱まっていき、どんどん腫れてくる、痛みもひどくなる、全然痛みが引かない、そんな症状が見られたらすぐに病院へ行きましょう。
3)体調が悪い感じ・吐き気や嘔吐
上の2つが、現場でわかる横紋筋融解の典型的な症状ですが、その他だと、風邪やインフルエンザのような症状が出ると言われています。
体調が悪かったり、吐き気があったり、実際に吐いてしまったり。これだけで横紋筋融解を疑うことはないですが(熱中症の症状でもありますね)、症状の1つとして知っておきましょう。
4)熱が出る・脈が早くなる
「体調・吐き気・嘔吐」と同じく、熱が出たり脈が早くなるという症状は、横紋筋融解に限らず様々な病状で起こるので、これだけで横紋筋融解を疑うということはないですが、こんな症状もあるということで参考に。
横紋筋融解はどう診断される?
「横紋筋融解である」と診断が出る(はっきりとわかる)のは、病院での血液検査と尿検査が必要になります。
血液検査でチェックされるものの1つが「クレアチンキナーゼ(Creatine Kinase:CK)」です。
このCKの値が「基準値の10倍以上」であると、横紋筋融解が疑われます。別に数値まで知らなくても良いですが、一応基準値は以下の通り(市立函館病院「血液検査ガイド」より)。
- 男性:45〜260 IU/L
- 女性:32〜180 IU/L
ですが、このCKの数値は運動をすれば誰でも上がります。よって、CKの数値だけで判断することはできません。
また、アスリートのように普段から定期的に激しい運動を行っている場合、正常な状態でのCKレベルが上昇する(=基準値が高くなる)といいます。
尿検査でチェックされるものは、ここまで何度も出てきた「ミオグロビン」の数値です。
最終的には病院での血液検査・尿検査を経て、ドクターによって総合的に診断されますが、現場では「筋肉痛がひどくなって全然治らない」「筋力低下」「腫れ」「おしっこの色が異常」といった症状が見られたら、病院(救急病院)へ行きましょう。
処置の遅れは「急性腎不全」「高カリウム血症」「不整脈」などを引き起こし、命の危険に及びます。
【ケーススタディ】横紋筋融解が起こった一部始終と回復の過程
それでは、実際に横紋筋融解になってしまったサイクリスト(自転車アスリート)のケースをここで紹介します。
どのような運動をしていて、どのような流れで横紋筋融解になってしまい、どのように回復していったのか、を一度読んで聞いておき、頭の片隅に置いておくことで、いざ起きた時に少しでも早く、より良い対処・処置を行うことができるでしょう。
横紋筋融解になってしまったサイクリストはどんな人?
- 36歳男性
- 180cm・70kg
- かなり頻繁に運動している一般人
記事の最初で「横紋筋融解の4つの原因」について解説しましたが、2)の薬の摂取や病気などはなく健康体の方。3)の鎌状赤血球形質も持っておらず、4)の中で紹介した「不慣れな運動」も当てはまらず、普段から行っている自転車運動や筋トレをこの日は行いました。
また、前日に40マイル(約64km)自転車を漕いでいました。後に登場するドクターは、この40マイルのサイクリングから脱水症状が始まっていた可能性がある、としています。
【Day1】運動初日:普段と変わらない筋トレをする
- 17:30から、エアコンのあるインドアのフィットネスジムでウォームアップ開始
- 15〜20分間のエアロバイク(負荷なしで軽く)
- 10分間の静的ストレッチ
- 18:00から筋トレ(約40分間)
- 約45kgでのバックスクワット8〜10回と、約70kgでのレッグプレス8〜10回を1セットとし、数分の休憩をはさみながら繰り返した
- 8〜10回を行えなくなったら、重さを軽くしていった
- 19:00頃からクールダウン開始(ウォーキング・ストレッチなど)
- トレーニング終了後、トレーナーや友人とおしゃべりをしたのち、20:00頃自家用車で帰宅
- 1時間ほど運転をして、21:00に自宅に到着
- 帰宅後は少しだけ食事や水分補給を行い、22時過ぎに就寝
まず注目すべきは「エアコンのある室内」でトレーニングをしていたということ。
暑い環境であるかないかは発症に関係ありません。熱中症も同じですね。熱中症のすべてが暑い時・場所で起こっているわけではありません。
運動の強度は、本人としてはそこまでキツイ筋トレではなかったようです。
17:30〜19:00過ぎまでにどれくらい水分補給をしたのかはわからず、のちにこのサイクリストは「水分補給を運動前・中・後にあまりしなかったのがよくなかったかもしれない」と言っています。
【Day2】運動翌日:おしっこの色がおかしい?
WeHeartItより
- 7:00に起床し、仕事へ向かう(1時間の運転 + 約6時間の立ち仕事)
- 朝起きた時、脚が筋肉痛だった(=これはいつものこと)
- 16:00に、自分のおしっこが茶色っぽいことに気がつく
- 17:00頃、脚の筋肉痛が悪化して更に痛くなってきたので、RICE処置とストレッチ、マッサージを自分で行った
16:00に自分のおしっこの色が変だと気づいた時に、このサイクリストは友人に電話で「おしっこがゲータレード(上写真。カラフルなスポーツドリンク)みたいな色だ」と伝えた、とのこと。ただ、もちろん友人は一般人なので、それがどれほどまずいことなのかはわからず、笑い話で終わったそうです。
「おしっこの色を見れば脱水状態かどうかがわかる」を知っていれば、この時点で水分補給を積極的に行うことで予防できた、もしくはこれ以上ひどくなることはなかったかもしれません。
実際にTietzeらによるレビュー3にも、初期の段階であれば「水分補給」と「休息」によって横紋筋融解は防ぐことができると示されています。
また、サイクリストを病院で診察・治療したドクターは「脚をストレッチ・マッサージした」というのが、彼の横紋筋融解を引き起こした要因の1つだろう、としています。
【Day3】おしっこが紅茶色に。脚は相変わらず痛い。
- 7:00に起きておしっこをしたら「紅茶色」だった
- 特に体調が悪かったわけでもなかったので普通に仕事
- 脚は相変わらず痛かったので、RICE処置とストレッチ、マッサージを引き続き行った
「おしっこの色が紅茶色」は完全な脱水状態です。おそらく普段こんな色の尿は見たことがないはずです。
おしっこが紅茶色は完全に異常です。できる範囲で頻繁に水分補給をしつつ、この時点で病院に行くべきでしたね。
【Day4】おしっこの色はコーヒー色に。。。
- 6:00に起床。睾丸を取りたいくらい痛かった
- おしっこはコーヒー色だった
- これはさすがにおかしいと思い、医者である義理の兄に電話。「早く病院に行け!」と言われ、病院へ行った
病院へ行ったのは、原因となった運動をしてから約60時間後のことでした。
- 左:薄い黄色=水分が補給された状態
- 真ん中:紅茶色=かなりの脱水状態
- 右:コーヒー色=異常状態
ここまできてしまうと、自分で水分補給をするだけではもう良くなっていきません。点滴によってどんどん体内に水分を補給させないと命に危険が及びます。
【病院1日目】横紋筋融解と診断を受ける
病院に着いてすぐに血液検査が行われました。
- クレアチンキナーゼの数値:171,264 IU/L(標準は24〜195 IU/L)
- 他の数値も軒並み標準よりもかなり高かった
- 医師は「腎臓が耐えられるかわからない。奥さんに連絡してください」と伝える
クレアチンキナーゼの数値は、基準値の10倍どころではなく1000倍近いですね。
血液検査を含めた診察・検査の結果、横紋筋融解と診断を受けます。いつ命を落としてもおかしくないほど、手遅れに近い状態だったようです。
集中治療室で6日間、一般病棟で更に6日間の入院ののち、退院
トータルで12日間入院した後、退院。最初の2日間の入院で点滴によって補給された水分は「約25リットル」。すごい量ですよね。もともと70kgだった体重は、一時100kgを超えたそうです。
退院後すぐはうまく歩くことができず、2週間ほどは歩行器や杖を使って歩いていたとのこと。また、腎臓の働きはまだ100%回復しておらず、退院してから徐々に回復していったということです。
それからも定期的に通院を繰り返し、すべてが正常に戻ったのは半年後でした。
【追記】横紋筋融解症の体験談
この記事をツイッターで拡散したところ、「私、横紋筋融解症になったことあります!」という方が何人か自分の体験談を教えてくれました。
体験談①:cassis@旧垢(公開垢)さん
自分がなった時も、医者に「即入院。入院しないと死ぬよ?」と言われたな…。
興味がある人がいれば、時間のあるときにツイートするかも。 https://t.co/GXwgN010Wy
— cassis@旧垢(公開垢) (@cassis_berry) September 6, 2019
cassis@旧垢(公開垢)さんがどのように横紋筋融解症になってしまったか、要点をまとめるとこんな感じ。
- 高校一年生の時、12月に発症
- 普段からあまり水分をたくさん摂る方ではなかった
- 普段あまり運動していなかった
- 先輩に部活動に勧誘され、基礎体力強化として「スプリットスクワットジャンプを100回」行う
- 激しい筋肉痛が数日間治らなかった
- おしっこが血尿っぽかったので保健室へ
- 簡易尿検査を行うと陽性だったので泌尿器科へ
- 検査後、即入院
「強度の高い運動」を行い、「激しい筋肉痛が数日間治らない(よくならない or 悪化していく)」プラス「おしっこの色が血尿っぽい」というところがポイントですね。
cassis@旧垢(公開垢)は、ツイッターの中で自分の体験談を教えてくれた上に、自分のブログでまとめてくれました。ぜひこちらもお読みいただければと思います。「横紋筋融解症の体験談|かしすぽ!cassis’s sports」
体験談②:Yohei Kawanamiさん
僕もなったことがあります。CKが30000を超えました。 https://t.co/dpCc12FS4b
— Yohei Kawanami (@waves_flat) September 5, 2019
Yohei Kawanamiさんが経験した流れは以下のような感じ。
- 腕立て伏せ180回行う
- その後身体のケアとして「カッピング療法」を行う
- 次の日、普段の筋肉痛とは明らかに異なる全身の痛み
- 病院へ行き、採血の結果CKの数値が「34,000」
彼の場合は血液検査後入院とは言われず、自宅で安静を指示されたようです(絶対にしたほうが良かったと私は思いますが)。
全身の痛みは1週間続いたそうです。また「家で休んでいないとヤバい」と感じるほどの、普段感じたことのない疲労感だったようです。
「腕立て伏せ180回」という強度の高い運動と、その後のカッピング療法(ざっくり言えばマッサージ&ストレッチのようなもの)によって発症してしまったものと思われます。
体験談③:masa@就活中さん
ただずっと横たわっていて、なる、、というパターンは年に一回くらい見ますね。衰弱して、何日かたって見つかって、と言った感じです。たまたまどこかが圧迫されてて褥瘡から進んでそうなることがありました
— masa@就活中 (@mcZ1242pt) September 6, 2019
彼は理学療法士として、横紋筋融解症の患者さんを診たことがあるということで教えてくれました。
高齢者が横紋筋融解症で入院する場合、原因は「熱中症」と「圧迫」が多いということでした。
「圧迫ってどういうこと?」と思って聞いてみたところ、返信してくれたのが上のツイートでした。
衰弱してしまって、寝返りのような動きをせずにずっと同じ体勢で横になっていると、ある筋肉が圧迫され続けます。これがいわゆるクラッシュシンドロームを引き起こし、筋肉が壊されてしまうことで、横紋筋融解症に発展するということです。
【まとめ】横紋筋融解へ発展してしまう可能性のある出来事や現れる症状
- 疲労の蓄積
- 脱水の蓄積・水分補給不足
- 強度の高い運動・繰り返しのエキセントリック収縮を伴う運動
- ストレッチ・マッサージを行う
- 強い衝撃・長時間の同じ部位への圧迫
- 普段とは明らかに異なる激しい筋肉痛・全身の痛み
- おしっこの色が血尿のように茶色〜黒っぽい色になる
横紋筋融解も熱中症も、その日突然なるわけではなく「以前からの蓄積」によって起こることが多いです。
上でケーススタディとして紹介したサイクリストも、その日の筋トレ自体は強度が高かったわけでもなく、この日全く水分を摂らなかったわけでもありません。この日熱中症になったわけでもありません。でも、横紋筋融解になってしまった。
それは、前の日、数日前からの「疲労の蓄積」「水分補給不足による脱水の蓄積」が徐々に積み重なった結果だと思われます。
よって、「いつもとなんか違うな?変だな?」と感じたら、誰かに相談したり、病院に行ってチェックしてもらいましょう。
アスリート・選手の場合、横紋筋融解になってしまってからどれくらい経ったら運動を始めて良いか、競技に復帰しても良いか、というガイドラインはありません(まだ研究段階)。
よって「もう体調良いからこれくらい大丈夫」と勝手に運動を開始するのはやめましょう。必ずドクターの指示に従います。
最初は軽度の熱中症、軽度の症状であっても、対処を誤り、対応が遅れると、回復に半年もかかってしまうような病態になってしまうこともあります。
みなさんの参考になれば幸いです。