熱中症予防のために覚えておきたい水分補給の方法

水分補給_トップ_運動

水分補給は、熱中症を予防するために大切なことであるだけでなく、自分のパフォーマンスを100%発揮するためにも重要になってきます。

今回は、どのように水分補給をしたらいいか、いつどのくらい水分を摂ればいいのかなど、具体的な水分補給の方法をお伝えします。


>>参考にした文献はこちらです。

スクショNATAPS_Hydration

National Athletic Trainers’ Association Position Statement: Fluid Replacement for Athletes

NATAが2000年に発表した、アスリートによる水分補給についてのPosition Statementです。少し前の論文ですが、要点がまとめられた素晴らしい論文です。


運動中、体内の熱を体外に放出する主要な方法は「汗をかく」ことです。もし汗をかけないと、深部体温は急激に上昇してしまいます。

汗をかくと、体内の水分が減っていきます。この水分減少のスピードは、運動強度や気温の高さ、暑熱馴化されているかどうか、などによって変わってきます。「汗っかき」な人もいると思います。

 

1〜2%の水分が体から失われると、生理学的な機能が低下するとともに、パフォーマンスも低下します。3%以上の水分を失ってしまうと、更に生理学的な身体の機能は低下し、熱中症になる危険性がグッと増します。この「3%」という数字は、夏の暑い環境の中運動をしていて水分補給を怠ると、約1時間ほどですぐになってしまう可能性のある数字です。

ですが、こまめな水分補給をしっかりすればこの水分減少は予防することができます。運動する人や選手自身が気をつけることはもちろん、周りの監督・コーチ、マネージャー、トレーナー、両親なども、水分補給を徹底させることを意識しましょう。

 

熱中症を予防するための水分補給

ではここから、NATAが推奨している水分補給についてのプロトコルを紹介していきます。

 

こまめに水分を摂れるときに摂る

水分補給_熱けいれん_自転車

水分補給と言えば「こまめに摂る」と、これはよく言われていることなのでわざわざ言うことではないかもしれませんが、やはり一度に大量の水分を摂るのではなく、少ない量をこまめに摂ることが大切です。

 

練習中

練習中は、できるだけ選手たちが水分を摂りたいときに摂れる、という環境を監督・コーチやトレーナー・マネージャーは作ってあげましょう。より選手たちがサッと水分補給できるように、選手一人一人にボトルのようなものを用意できるとより良いですね(上の写真のような)。

 

試合中

試合や大会中は、スポーツによっては好きなタイミングで水分補給ができない場合もあるでしょう。こまめに水分補給ができるスポーツは、少ない量で良いので、ちょこちょここまめに水分を摂りましょう。休憩の時間や水分補給できる時間が決まっているスポーツに場合は、がぶ飲みはよくありませんが、自分がかいた汗の量くらいをしっかり補給するように気をつけましょう。

部活動の顧問の先生やマネージャー、スポーツチームの監督・コーチ、周りで支える両親やトレーナーなどは、選手たちにこまめに水分補給をするように、積極的に促すことが大切です。

 

ウォーターボトルは透明で目盛りがついているとベター

水分補給に使うボトルが透明になっていて、しかも100mLおきに目盛りが振ってあるボトルを使うと、中に残っている水分の量がが外から見て確認することができるため、自分がこれまでどれくらい水分を補給していたのかがわかり、水分補給をしなきゃ!と思い出させる役割を果たすでしょう。

 

運動前からしっかり水分補給をしておく

熱中症の予防として、運動中のこまめな水分補給が強調されがちですが、運動の前から水分を補給しておくことも重要です。運動前にすでに脱水状態であると、運動のし始めからすでに熱中症のリスクが高い状態ということになります。

運動前に自分の身体に水分が足りているかどうかを確認する一番簡単な方法はおしっこの色を確認することです。

 

>>「おしっこの色チャート」の使い方はこちらから。

おしっこの色を見れば脱水状態かどうかがわかる

2017.04.05

運動する人は、このおしっこの色チャートを頭に入れて(もしくは練習中などによく使うトイレの壁にこのチャートを貼って)、自分の水分補給の状態を確認しましょう。

 

運動前に体内にしっかり水分を補給するために、NATAは以下を推奨しています。

  • 運動の2〜3時間前に500〜600mLの水 or スポーツドリンクを飲む
  • 運動の10〜20分前に200〜300mLの水 or スポーツドリンクを飲む

 

運動前と後に体重をはかる

体重計_水分補給

運動・練習中に水分補給ができているかどうかを確かめる一番の方法は、運動の前後に体重をはかることです。まず運動前に体重を測って、記録しておきます。運動中はこまめに水分補給をしっかりして、運動が終わったらすぐまた体重を測定します。

目標は、運動前の体重から運動後の体重を引いた数字が体重の1%以下であることです。

特に夏の練習では、選手たちがいつでも体重を測れるように、体重計を用意しておきましょう。選手たちには必ず練習前・練習後(長い練習の時は練習中も)に体重をはからせて、増減がなるべくないように水分補給をさせることを意識させましょう。

 

運動後2時間以内に、運動中に失った水分と炭水化物を補給する

運動前の体重から運動後の体重を引いた分が、運動中に失った水分の量です。よってこの水分を、運動後速やかに補給することが大切です。さらに水分補給と同時に、グリコーゲン補給のための炭水化物と、運動後の水分補給を促進させる電解質も一緒に補給しましょう。

 

運動前と運動中も炭水化物を補給すべし

運動中のエネルギーとなる「グリコーゲン」を運動前に補給しておくことで、熱中症を予防することができます。また、もし運動や練習が45分以上続くときや、運動が高強度の場合は、練習中に補給する水分にも炭水化物(=糖質)が含まれていることが望ましい、とNATAは言っています。

具体的には、1リットルの水分に6%の糖分が含まれている飲み物が良いでしょう。逆に、8%以上の糖分が含まれている飲み物は、運動中に補給する水分としては望ましくありません。

 

水分に塩分(ナトリウム)を含めるべき時もある

以下のような状況の場合は、運動中に補給する水分に塩分も含んでいるべきである、とNATAは示しています。

  • 4時間以上運動をする
  • 運動前に食事をしていない
  • 突然暑くなった日

 

このような状況の時は、1リットルに0.3〜0.7gの塩分を含んだ水分を運動中に補給しましょう。汗によって出ていく塩分を補給することで、熱けいれんをはじめとした熱中症の予防に繋がります。

運動中に補給する水分の中に塩分を含むことでのどが乾くようになるので、水分補給を促進することにも役立つと言われています。

>>熱けいれんについての記事もぜひ読んでください!

熱けいれんとは?〜原因・ケア・予防方法〜

2017.04.01

 

カフェイン・アルコール・炭酸飲料は運動中に向かない

たとえ糖質や塩分が含まれていると言っても、運動中に飲むべきではないものもあります。

カフェインやアルコールを含む飲み物(=お酒やコーヒーなど)は、利尿作用(おしっこの量を増やすため、頻繁におしっこに行きたくなる)があるため、いくら水分を補給してもどんどん出ていってしまいます。また、炭酸飲料はお腹がふくれて満腹感が生まれるため、こまめな水分補給をしなくなってしまう恐れがあります。

 

運動中の水分の温度は10〜15℃

NATAは、選手たちが運動中に飲む水分の温度は水分補給する量に影響を与えると言っています。これはつまり、水分の温度が温かかったり冷たかったりすることで、水分補給の量が減ったり増えたりする、と言うこと。個人によって好みの温度があるので一概には言えませんが、NATAは10〜15℃くらいがいいでしょう、と推奨しています(その人が一番好きな温度にするのがベスト)。

 

脱水の症状を知っておく

汗_おしっこ_水分補給

選手たちや運動をする人自身はもちろん、部活動の顧問の先生やマネージャー、クラブスポーツの監督やコーチ、さらには選手たちを周りで支えるスタッフ(トレーナー、両親など)は、脱水症状ってどういうものなのかを知っておくことが大切です。そして練習中は選手一人一人をしっかり観察し、おかしいなと思ったらすぐに声をかけ、体調の確認ができるようにしましょう。早めに対処することによって、熱中症の悪化を防ぐことができます。

以下が、脱水になったときに現れる可能性のある症状です。

  • のどのかわき
  • イライラする
  • 頭痛
  • めまい
  • 筋肉のけいれん・つり
  • 寒気がする(悪寒)
  • 吐き気・嘔吐
  • 頭や首に熱を感じる
  • パフォーマンスの低下

 

脱水症状になってしまった場合

意識があって、口から水分を補給できる(=水を飲める)場合は、多少無理をしてでも水分を補給させましょう。もし意識がなかったり、飲んでもすぐ吐いてしまうような場合は、すぐに病院へ連れて行きましょう(点滴によって水分を体内に補給させます)。

 

熱中症の予防のため、はもちろん、自分のパフォーマンスを常に高いレベルで保つためにも水分補給は重要になってきます。選手自身も、周りのスタッフも、夏の暑い時期は特に水分補給を常に意識しておきましょう。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

2013年からBOC−ATC(米国公認アスレティックトレーナー)として活動中。大学時代に後輩が熱射病によって命を落としたことから、熱中症について調べるようになりました。「予防のプロ」として、熱中症に関する正しい情報を伝えていきます。